止まると錆ます
常識って人それぞれの物差しで測った範囲。
価値観やルール・マナーが常識の正体です。
若い頃に「常識だろ」で片付けられた理不尽な経験はありませんか?「そうか、常識なんだ」と疑問を胸にしまい込んだことってありますよね。暗黙のルールだと理解しますよね。
わけもわからず「そういうもんだ」と認識して生きていくことで、自分の中にも常識を作っていきます。
しかしただ闇雲に流されるだけの慣習は事業や人生にとってサビになります。
この繰り返しで思考回路が錆びついちゃうんです。
錆びつかないコツは、反抗することではなくその意味をしっかり理解すること。
納得がいくまでです。
慣習となっているには理由があって、それが必要だから存在するのですが、時代の移り変わりで必要なくなった慣習もあります。今の自分に必要か大切にしていくべきものか、抵抗や反対を受けても覆すものかをしっかり理解した上で判断する必要があります。
常識で済ますことは思考停止と同じです。
業界の常識が覆る
農家は収穫したら農協に納める。流通は問屋を介して仕入れる。
業界ごとに暗黙のルールがあります。
業界のルールを逸脱すると締め出されます。
高額な農機具は農協から資金を借り入れて調達しますし、問屋を介さないと商品が入ってきません。業界の経験が浅く起業した人は、この常識に疑問を持つことでしょう。業界に長くいた人が起業をすると、こうした常識が良くも悪くも染み付いているので違和感を感じないかも知れません。
そして時代は流れました。農協に収めても一向に所得が上がらない農家さん。農機具や不動産、保険まで財産も負債も握られていますのでこのシステムから逸脱できない。
解決策はわかっています。
消費者に直接販売出来れば利益が大きく上がって事業は好転します。
そしてバブル崩壊後に起こった「マミ米」騒動。
農協に収めず直接消費者に販売する農家の出現です。
マスコミでも叩かれまくりました。
今までの常識を壊す営業スタイルですから世間から一斉攻撃を受けました。しかし、消費者にとっては安い、農家からしたら高単価で販売できる。ウィンウィンの流通です。叩かれながらもこのスタイルに変更した農家さんがあなたの地元でも今は大きな企業になっていないでしょうか?
業界のルールを守って問屋から仕入れを始めた物販屋さん。問屋から入る掛け率も、バブル崩壊後の不況とデフレで上がっていきました。販売量が少なくなったので問屋さんも生き残りのために値上げしなければいけなかったのです。
僕はアパレルで起業したのですが、この問屋制度を利用せずにメーカーと直接取引して大きくなりました。東京・大阪・名古屋などの有名なブランドメーカーから周りました。
もちろん全戦全敗でした笑。
メーカーに、北海道の田舎で始めたばかりの小さな小さなお店に、わずかな発注量で問屋制度を壊して納品する理由なんてありませんから。当然です。北海道全域分をまとめて一括で納品できる問屋に卸すのは当たり前です。
「これから問屋を介さない時代になる」「発注量を3年後までにここまで発注できるようにこういう事をやります」という二本柱で、メジャーなメーカーがダメなら中堅メーカー、さらにはインディーズメーカーと歩き続けているうちに男気で付き合ってくれたメーカーさんや、ブランドとして僕と同じで生まれたばかりの、よちよち歩きのメーカーさんなど。一軒ずつ増えていきました。最終的に時代も変わり、自分の事業も伸びたので発注も多く出せるようになり、50件弱のメーカーさんと直接取引するようになりました。
ここまではバブル崩壊から2000年代初頭までの「中抜き」という間を挟まない直接取引に移り変わった時代の話です。
ここあとまだデフレも20年続き、ようやく次の時代に変わる時が来たようです。
三菱や住友、電通などの商社、建設業でいえば元請け下請けの制度、今もなお続いています。この巨大な構造は無くならないでしょうが、数は減っていくでしょう。
僕たちのような小さな零細企業が今までの制度に捉われる必要はありません。
商社を挟まなくてもラスベガスのギフトショーへ足を運んでみてください。直接取引できます。公共工事100%の事業なら民間も開拓してください。一般住宅やマンションでなく、ゲストハウスなどの高単価の物件に需要があります。(僕なら絶対シェルターを販売します笑)
常識がないから起業する
そもそも常識のある人間が起業するでしょうか笑。
少なくとも僕は常識なんてありません。
自分のしたい事をするっていう欲望に勝てない、究極の自分勝手な人間だから起業するのです。非常識で周りから白い目で見られることから始まった人間が、常識に囚われてどうするんですか。他人の価値観です。周りの目を気にしてたら好きな事業を表現できません。
独創的なアイデアも自分を動かす活力も常識の中からは生まれません。
当たり前をよく理解していないからとビクビクしないで、当たり前がわからないことを武器にしてください。
農家さんの話に戻ると、今まで聖域だった農地法というものがあります。住宅を建てる宅地と農地は明確に分かれていて、新規参入しづらいうえに事業廃業に伴って売買もしづらかった大きな障壁です。これがどうやら壊れそうです。
いち早くこの流れに乗ったのが中国企業(というより中国政府)。こちら北海道では中国企業がどんどん進出しています。高齢化した農家さんが高値で手放してしまうことに何の罪もないです。外国企業の参入に歯止めをかけるのは政府の仕事です。
農業、牧場経営などで起業を考えているあなた。今がチャンスです。今まで買えなかったはずの土地が買えます。小さくていいんです。いいものを生産して世界に高価格で販売しましょう。「日本」は高品質で安全なのが世界中の共通認識、つまり日本で生産するだけでブランド化しているのです。
ニセコのニュースを一度くらいは見たことありますよね。僕も3年くらい前にキッチンカーでお正月に販売に行った事がありますが、あそこは日本じゃありません笑。コンビニにドンペリが並んでいます。そして飛ぶように売れます。北海道の田舎で一泊10万円とかします。
今、富良野が第二のニセコになりつつあります。近隣の美瑛町までバブルです。観光客も凄いです。友達も先日55才になっておにぎり屋さんを始めました。観光業や不動産業で起業するなら一度見に来た方がいいですよ。
長い時間をかけて世間一般に築かれた常識を覆すことは大変です。
しかし、自分の感性を錆びつかせないために、「なぜそうなのか?」という疑問はいつも持っていましょう。そして常識を塗り替えて、市民権を得たものだけが「改革」とか「革命」などと持て囃されます。
大抵はうまくいかないので「反抗」として埋もれていきます。
長い間、世の中がうまくいっていた頃はこの「常識」を覆すのは至難の業でした。大多数の人にとって、うまくいっているシステムを壊す必要がないからです。
しかし、バブル崩壊からもう制度疲労を起こしています。そして今、どの業界も今までの常識が通用しなくなりました。社会全体が新たな基準を作り上げているところです。
常識に関しては、スタッフを雇った時にもう一度立ち返りましょう。「常識」で済まさないように。しっかり意味を伝える事が大切だと思い出せるはずです。
時代は自由でもあり、自分自身の判断に委ねられているということです。
この幸せな時代を乗り切るには、情報収集ではなく、情報を使って自分なりにしっかり料理することです。